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  • 菊池捷男

7.多様性を受け入れることの効果

これは私の経験談です。


会議体で、一人の委員が甲論を吐き、別の人が乙論で反駁する、ということはよくありますが、物事を決めるための会議体での、相手を説き伏せようとする口論(こうろん)乙駁(おつばく)は、いたずらに時間がかかるのみで、決してよい結果を生むものではありません。


そうかといって、議論を打ち切り、多数決で物事を決定する姿勢も、反対意見を持つ人には、納得の得られるものとは思えません。

ではどうすればよいのか?といいますと、会議体に出席した人全員から、意見の表明をしてもらう方法が、案外、全委員が納得できる結論に達することがあるのです。


提出議案に対し意見を求めたところ、Aが甲論を述べ、Bがそれに反対し乙論を述べ、AとBの間に甲論乙駁が始まり、他の委員が黙って聞くという状態になったときは、議長が、AB双方に対し、他の委員の意見を求めるという言い方で議論を停止してもらい、他の委員全員の意見を一人一人から述べてもらうのです。


そうすると、ABいずれかが、自分の意見が、本人が思う以上の少数意見であることを知ったときなど、持論を撤回し、反対論を述べた人の意見に賛成することもあるのです。

他の委員も、そういう考えなら、自分もその意見に賛成しようという納得感が生まれるからです。


また、面白いことに、全委員個々に意見を述べてもらうと、各委員は、他の委員の述べる良質の意見の影響を受け、さらに自説に自信を持つ人、逆に他の委員の良質の意見に納得し、自説を変更する人なども出、会議体の結論は、自ずと一つの結論に落ち着くことが多いのです。これがコンセンサスであろうと思います。


委員も、始めから結論ありきではなく、全員の自由闊達な意見を聴きながら、自分の結論を生み出すという考えでいる方が、多数決では得られない納得感が生まれるように思います。

また、会議に要する時間も、全委員からの意見聴取の方が、AとBの甲論乙駁に手を拱(こまぬ)くことに比べ、はるかに短くてすむように思います。これは多様性の一つの効果だと思います。

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