- 菊池捷男
6.多様性は、管見とバイアス(偏見・先入観)を忌む
管見とは、管(かん)を通して世界を眺める見方をいいます。広い世界がまるで見えない狭量な考えをいうのです。
管見の持ち主は、容易にバイアス(偏見・先入観)の虜にされ、井の中の蛙か、鳥なき里のコウモリになり下がるように思います。多様性が、最も忌むものは、管見とバイアスであると考えます。
私など、不遇に見舞われたときや、弱気が心に棲(す)むようになったとき、人をうらやみ、人を批判し、管見の管をさらに細くして、バイアスの穴に逃げ込む癖がありました。否、今でもこれがないわけではありません。
しかし、ロータリーに入会させていただいたおかげで、少しはよくなったような気がいたします。
このわが身の経験から、言えることですが、人は、ときに、口角泡を飛ばして何かを発言するとき、ふっと我が身を顧みるがよいと思います。
管見が嫉妬を生み、疑心暗鬼を生み、心の中に嵐を巻き起こしていることが、冷静に判断できるようになるのではないかと考えるからです。
そのときは、多様性の実践論である、誉誉褒褒とプラスの言葉を実践することが大切だと思います。
今まで、何某氏について、“毀毀(きき)貶貶(へんへん)”した(わが造語です)言葉を、裏返して、“誉誉褒褒”に置き換えるのです。それをすると、世界が広くなり、バイアスの呪縛から解放されることは間違いないと考えます。
少なくとも、心穏やかならざる状況に置かれたとき、「多様性」って言葉があったよなあ、とつぶやくだけでよいと思います。
そうすると、懸河の弁よろしく、とうとうと「多様性」の流れが現れ、それに棹さすだけで、広い世界が広がってくるように思います。